ウクライナ通信

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「戦争」22日目

17.03.2022

ウクライナ人は働き者

仕事が忙しい。

普段なら月の半ばは比較的暇なのだが、今月は事情が違う。

うちの会社はキエフに本社社屋があるので、プロジェクトチームの大半がキエフに住んでいた。

残りの2人がハルキウ、それ以外はウクライナのあちこちからリモートで働いていて、私とロシアのペテルブルクに住んでいるエンジニア以外の全員が近くで爆撃を受けたのだ。

したがって、ロシアによる侵略が始まった最初の一週間は私だけが働いていた。

2週間目に入って、キエフやハルキウの同僚たちが、都市から離れた郊外や西ウクライナ、ポーランドなど、まだ戦火のない所に移って落ち着いた。

おかげで、今週になって仕事についた彼らからの注文や報告が入って、忙しくなっているのだ。

日本の人はロシア人やウクライナ人はあまり働かないと思っているらしいが、少なくとも、ウクライナ人はとても働き者だ。

私の会社は朝9時から夜9時までの間で8時間(昼休みを1時間とれる)働くのだが、朝9時前に来ても誰かがすでに働いているし、夜9時過ぎにあがっても誰かがまだ働いている。

仕事があるときは気が済むまで働くのがウクライナ人だ。

会社の取り組み

ただし、今はどのオフィスも殆どがリモート勤務になっている。

キエフのオフィスは通うにはもう危険すぎる。

ついさっき、Facebookでキエフにいる友だちのストーリーをみたが、人影もなく閑散としていた。

他の都市でも、今では頻繁にサイレンが鳴るので、シェルターのないオフィスでは落ち着いて仕事が出来ない。

国際プロジェクトを有する会社はどこもそうだが、キエフや東部の女性社員を中心に、社員を国外に退避させている。

うちの会社も同様で、戦争状態になってすぐ、ポーランドには社員用の宿泊所がいくつか用意された。

私のチームの同僚女性たちも、いまはそこで仕事をしている。

戦争から2度めの月末

ロシアによるウクライナの侵略が始まって22日。

いつの間にか3月半ばを過ぎ、2度目の月末を迎えようとしている。

戦争中であろうと、月末が近づいてくると、会社関係の用事が増える。

経理からは給与の受け取り方法について、手続きの確認要請があった。

ウクライナでは通常、個人事業家Фізична особа-підприємець登録というのをして、その口座で報酬を受け取る。

しかし、今は戦争中である。

銀行が爆撃にあうかもしれないし、サイバー攻撃を受けるかもしれない。

そこで、各社の経理担当者が社員の給与を確実に届けるため、電子ウォレットや仮想通貨などを利用できるよう指導している。

うちの会社でも、戦争が始まった直後の今月初頭に、経理のマネージャーから電子ウォレットでの代返支払いの手配をするよう指示が入った。

私自身はメインバンクがポーランド系のクレド銀行なのと、国外移動の意志がないのとで、手続きの変更はしなかった。

リヴィウの経理担当者も留まっているので、万一のときには手渡しするから安心しろと言われた。

リヴィウ市の取り組み

リヴィウ市も精力的に働いている。

以前お伝えしたように、3月1日よりリヴィウではアルコールの販売が全面的に禁止されている。

上の画像は、その禁を破ってアルコールを販売していた店に対する処置。

市長はこの画像をFacebookやTelegram等のSNSにアップしている。

画像はサドヴィー市長のFacebook公式ページより。

Попри заборону, тут продавали алкоголь

美術品・芸術品は保護

リヴィウは芸術の都。

中心地は美術館だらけ、オーストリア時代から続く歴史的建物が並んでいる。

いま、それらの美術品や芸術品、歴史的建築等を見ることはできない。

戦争開始からの数週間で、移動できるものは安全な場所に保管、移動できないものは補強して、爆撃に備えている。

ヨハネ・パウロ二世が訪れたカテドラルをロシアの爆撃が避けてくれるとは期待できないので。

隣人を選べないというのはつくづくつらいことだなぁと思う。

教会や礼拝堂、大学、中心地のプローシチャ・ルィノク(マーケット・スクエア)に彫刻たちが帰ってきてくれる日が一日も早く来てくれることを願っている。

画像は中心地にあるローマ・カトリックのカテドラル(「ラジオ・スヴォボーダ」より)。

【Скульптури «одягнули» в риштування і бляху】

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