17.04.2022
安成、鼻炎を発症
前回ブログを書いてから一週間。
前回ブログも前々回から一週間以上間があいたので「死んだのかと思った」といわれましたが、今回は本当に体調が悪くてバテていました。
先週末にマッサージを受けた直後は元気満々だったんですが、火曜日くらいから咳とくしゃみがひどくなって、鼻水製造機みたいになっています。
鼻炎は日本にいたときと同様の症状で、熱や身体の痛みはまったくないんですが、とにかく、笑えるくらい鼻水がでます。
ウクライナに来てからはおさまってたんですが・・・。
鼻のかみ過ぎで、鼻の下は無論、唇の上縁も赤くなってヒリヒリ。
念のため、みなしコロナのときに見ていただいた女医さんにTelegramで症状を伝えると、咳と喉の痛みが続くようなら喘息用の吸入器を買うよう勧められました。
使わずに済むことを祈ります。
戦況
まず、戦況です。
日本でも報じられていると思うのですが、いま、激しい攻撃を受けているのはウクライナの東部です。
今日もハルキウの中心地で爆撃があり、一般市民に犠牲が出ています。
と同時に、キエフにもリヴィウにも新たな爆撃がありました。
ロシア側からは、今後の戦況、特にアメリカの動向によってはキエフに再度勢力を投入すると脅かされています。
この次の指標が「戦勝記念日」の5月9日であること、それまでにロシアが「勝利」の成果を示すため、東部への攻撃を強めながら、首都への象徴的な攻撃を仕掛けてくることが予想されています。
以前書きましたように、ロシア人にとって「勝つ」とは「敵を苦しめること」なので、勝ったことにするためには出来る限り大きな「災厄 Беда」を与えようとするでしょう。
ウクライナ人の方は、キエフのクリチコ市長が帰還は慎重にと押し留め、ロシア側が首都の再攻撃を匂わせているにもかかわらず、キエフへの帰還の波が動き出しています。
このままキエフに人が増え続ければ、5月の初めにはまた戒厳令が敷かれるでしょう。
一週間ぶりに買い出しに行く
一週間、ほぼ家にこもっていたので、今日は買い出しに行ってきました。
どうしても手に入れたかったのが、シャンプー&トリートメントと猫のトイレ用ウッドチップです。
食べ物は近所のАTБで入手できるので問題ないんですが、この2点だけは地元ではずっと品薄状態です。
買い物目標が猫砂とシャンプーなので、食料品・日常雑貨のシリポСільпоがあって、マスターズーMasterZooやワトソンズWatsonsも入っているヴィクトリア・ガーデンに行くことにしました。
以前書きましたように、アシャンAuchanはボイコット対象なのでもうずっと行っていません。
ヴィクトリア・ガーデンズ Victoria Gardens
【画像はZaxid.netより】
ヴィクトリア・ガーデンズに着いて最初にビックリしたのが、人の多さ。
一ヶ月前に来たときはガラガラでしたが、先週来たときは既に買い物客でごった返していました。
今日はもう、到着した時点で駐車場が満杯。
買い物を終えた人達がそこここでタバコを吸ったり、アイスを食べたり、おしゃべりしたりしています。
ホールではミニコンサートも開かれていて、普段どおりのモールです。
二番目にびっくりしたのが、誰もマスクをしていないこと。
数日前、АTБに寄ったときも半数以上の人がマスクをしていませんでした。
SNSでも、他の地域の人が「誰もマスクをしていないんだが・・・」と書いていたので、あんまりしてないんだろうなぁ・・・とは思っていたのですが、予想を上回る少なさ。
満員の買い物客のうち、マスクをしていた人はせいぜい10人くらい。
さすがに驚き。
よくこれで蔓延しないなぁと不思議なんですが、未だに周りにはコロナが重症化した人は一人もいません。
シリポСільпо
最初にワトソンズWatsonsを覗いたんですが、先週から変化なし。
メイクアップ化粧品は豊富にあるものの、シャンプーやボディシャンプーといった必需品の棚はガラガラ。
まだ補充されていないようでした。
スーパーのシリポに望みを託します。
シリポはウクライナでも有数の大型スーパー。
食料品は問題なく豊富で、野菜も果物も肉もパンも揃っていました。
ただ、シャンプー等の日用品はここでも品薄でした。
幾つか残ってはいるんですが、シャンプーとトリートメントが揃っていないんです。
やっとPANTENEの細い髪用というのをセットで見つけたので、購入。
私の猫毛にあってくれると良いんですが。
シャンプーは大ボトルしかなかったので、重かったです。
地元のАTБで売り切れていたワインビネガーがあったので、それも購入。
他に、アヴォカド、サニーレタス、ドライマンゴーなどを買い込みました。
ちなみに、以前お知らせしたように、リヴィウでもビールや白ワインのような弱いお酒は買えるようになっていますが、お酒は我慢。
飲むと眠りこんでしまうので、警報に気付けないのです。
マスターズーMasterZoo
マスターズーでは念願の、ウッドチップタイプの猫砂を手に入れました。
5キロで135.81フリヴニャ。
以前アシャンで買っていたのが3キロ40フリヴニャ、地元のАTБで売っているのが3キロ60フリヴニャですので、ちょっと割高です。
どこでもすぐに売り切れてしまうので、かなり品薄のようです。
今回も通常ブランドのものではなく、ほぼ包装なし、薄い袋に詰め込んだだけの商品でした。
それでも、手に入って一安心。
その他の買い物は、こちらです。
円に換算するには4をかけてください。
品名 | 値段(フリヴニャ) |
猫のトイレチップ 木製 5キロ | 135.81 |
プロプラン ドライフード 去勢猫用 ターキー風味 400グラム | 140.66 |
Nutri Pocket チーズ風味タウリンプラス 60グラム | 82.45 |
缶詰ムース GourmetGOLD チキン | 25.22 |
缶詰ムース GourmetGOLD ツナ | 25.22 |
缶詰ムース GourmetGOLD ターキー | 25.22 |
缶詰ムース GourmetGOLD 肉 | 25.22 |
ドライフードは普段ロイヤルカナンなんですが、戦争が始まってから見かけていません。
フードは戦争前に買い置きしたのでまだ予備があるんですが、プロプランの去勢用は小粒で、歯の弱い兄猫のお気に入りなため、買っておきました。
Taxi 838
行きはBoltで車を頼んだんですが、帰りはTaxi 838で頼みました。
どちらもリヴィウで人気の配車アプリです。
他に、UberとUklonも人気です。
休日はどこも混雑していますし、また、掛け持ちしている運転手さんも多いので、利用者の方も複数のアプリを入れています。
古風な運転手さん
帰りのタクシーの運転手さんは、ちょっと変わった人でした。
車から出てきたのを見てまず驚いたのが、ウクライナでは無論、今どき日本でも見られないんじゃないかと思うような、古風な背広を着ていたことです。
皆さんもニュース等を見ていて気付かれたと思うのですが、ウクライナ人はあまりスーツを着ません。
大統領が米議会で演説をしたとき、アメリカの評論家の一人が「ウクライナの大統領はスーツを持っていないのか?」とクレームをつけて話題になりましたよね。
ゼレンスキーの場合は戦時。
アピールの意味もあるのでしょうが、普通の会社でもスーツを着る人は少ないんです。
スーツを着る男性が多い職場というと、まず銀行。
あとは、法廷のあるときの弁護士、大学教員、政治家等。
タクシーの運転手さんとなると殆どがラフなスタイルなんですが、今日の運転手さんは違いました。
スーツもスーツ、昔、日本で杉綾といったような古風な柄のスーツを着ていたのです。
年齢はよく分かりませんが、60歳は越していると思われる、長身の男性です。
運転手さんは荷物をトランクに入れると、後部座席のドアを開け、乗り込むまでドアを支えてくれました。
リヴィウの男性は紳士的な人が多いので、荷物を入れたり、運んだりしてくれる運転手さんは普通です。
でも、ドアを支えてくれる人は珍しいです。
ウクライナ語のТи(君)
車が発進してしばらくすると運転手さんが「Ти сама?(君、一人なのか?)」と訊きました。
一人なのは見れば分かるのにと思いながら「Tак」と答えると、運転席で頷いています。
さらにしばらくすると運転席から手が伸びてきて「Тримай(とりなさい)」という声。
手にはキャンディーが一個乗っています。
「ありがとう」と言って受け取る私。
それは良いんですが、「Ти」というのが気になります。
ウクライナ語には二人称による「Ви(あなた)」と「Ти(君)」の使い分けがあります。
「あなた」にあたるのが「Ви」は、「君」より丁寧に話す相手に対して用います。
「君」の方は、家族や友達といった親しい人同士の間で使うほか、大人が子供に対して用る言葉です。
タクシーの運転手さんが客に「Ти」で話しかけるというのは考えられないことなので、どうも、子供と間違われたようです。
私はいい歳ですが、顔の作りは童顔なので遠目には若く見られます。
いま、鼻水製造機だし、夜中にサイレンがなる度に地下室で過ごさなきゃいけないしで、水分が枯渇して肌がボロボロ、アップで見るとひどいんですが。
Все добре, все буде добре.
鼻が詰まっている私にとってキャンディーはありがたい差し入れだったので、もらったその手で包装をむいて口に入れました。
その様を見ていた運転手さんが「Ти змучена(疲れてるんだな)」と言い、「Все добре, все буде добре」と言って、頷きました。
「大丈夫、良くなるよ」というような意味です。
ここに至って、どうも、運転手さんは私のことを東部から避難して来た女の子だと思ったいるようだと気付きました。
いま、リヴィウには東部からの避難者が詰めかけています。
タクシーをよく利用するのも避難者、スーパーやモールで日常品をまとめ買いするのも、身一つで逃れてきた避難者の人達です。
私は片手に5キロの猫砂、片手に猫のドライフードや缶詰、シリポで買ったワインビネガーやシャンプーの大ボトルの入った大袋を抱えていたので、避難者風に見えたのでしょうか。
今日のリヴィウは良いお天気でした。
昼間は暖かかったので薄着の人も多かったのですが、私は鼻水製造機なので、厚ぼったい冬物のコートを着ていました。
春らしい服を持っていない人だと思われたのかもしれません。
Гарного дня!
運転手さんはその後一言も話さず、静かに運転していました。
家の前に着くと車を停め、「ちょっと待って」と言って自分が先に降り、ドアを開けて手をとってくれました。
さすがに、ここまでしてくれる運転手さんは珍しいのです。
「Гарного дня!」と言い、もう一度「Все буде добре!」言って手を振りました。
「Гарного дня!」というのは、「Have a good day!」というような意味。
配車アプリの運転手さんの殆どが口にする挨拶です。
夕方以降なら、「Гарного вечора!」とDayをEveningに変えます。
どちらも、一般的な挨拶の言葉で、働いている人なら、一日に何度も口にします。
返す言葉は「Гарного Вам дня!」「Взаємно!」など。
どちらも、「あなたも良い日を!」という意味になります。
「Взаємно! До побачення!」というと、運転手さんは手を振りながら運転席に戻っていきました。
猫砂もシャンプーも買えたし、優しい運転手さんに出会えたし、戦争中とはいえ、今日は良い日でした。
明日も良い日でありますように。