ウクライナ通信

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爆撃とSNS

18.03.2022

早朝の爆撃

今日は朝からリヴィウに爆撃があった。

警報が鳴ったのが午前6時8分。

それから15分くらいして、私の耳にもはっきり爆音が聞こえた。

私に聞き取れたのは3度。

他の人にも同様に聞こえていたようで、チャットではすぐに「空港がやられた」とか「すごく近い感じ。駅じゃない?」といった声が溢れた。

TelegramやViberのコメント欄やチャットには建物の上から爆炎の立ち上る画像が貼られたが、Viberのチャットのではすぐに管理人らしき人たちが画像を削除するように依頼した。

リヴィウ州の軍司令官コジツィキーもTelegramで速報を出し、「敵のために働くな!」と厳しい口調で注意を促した。

これはロシア側に砲撃の情報を与えないためで、爆撃や砲撃があった際、画像や映像、不確かな情報をチャットやコメント欄に出して共有しないよう、口が酸っぱくなるほど言われている。

ハイブリッド戦争といわれるように、ロシアの諜報機関はウクライナ人の情報の90%をSNSから得ているという記事もある。

ウクライナのSNS

警報自体は爆撃から20分ほどたった6時47分に解除された。

被害を受けたのは稼働していない航空機の修理場だったので、幸い死者はなかったが、一人が怪我を負ったと報じられている。

リヴィウではその後、空爆そのものより情報管理の方が話題の中心になった。

FMラジオのЛюксFMがFacebookなどに「Зберігаємо Тишу Менше Говоримо у Соцмережах」という画像を掲載するとあっという間に数百のシェアがついた。

朝の騒動について、「ソーシャルメディアでのおしゃべりは控えめにね」と軽く釘をさしている感じだ。

TikTok世代はすぐアップ

以前にも何度か書いたが、ウクライナでは世代によって使うSNSが違う。

ざっくりいうと、若い世代がInstagram、Telegram、TikTok、親世代がFacebook、Viber、Youtube。

Twitterは世界中どこでも、世代に関わらず、似たようなタイプの人が、似たような意図で使う。

勿論、きっちり別れているわけではなく、30代くらいならどちらも使う人が多いし、インスタとFB、TelegramとYoutubeといった使い方をする人もいる。

ただ、割ときっちり棲み分けしているのは、モラルに厳しいタイプの人達。

こういう人達はTelegramやTikTokは使わず、ViberやFBでリアルの知り合いとだけ付き合う。

ネットマナーにも厳しい。

Telegram&TikTok世代

一方、TikTok世代は何でもすぐアップするし、グループで共有、そして、別のグループにも転送する。

実際、Telegramをやっているとサブスクの案内だらけになってしまう。

また、膨大な画像のせいでスマホの容量がすぐにいっぱいになる。

それが今のハイブリッド戦争のメディア力になっている一面はあるが、実戦の障害になっている面もあって、親の世代は懸念している。

欧米発信のYou TubeやFacebook、Instagramと違い、TikTokは中国発、Telegramはロシアのドゥーロフ兄弟の所有。

拡散力が高いうえ、規制が期待できないので、慎重に使う必要がある。

大統領のスピーチ

大統領ゼレンスィキーのスピーチが評判だ。

個人的に面白いと思ったのは、江川紹子さんの評。

アメリカ連邦議会でのビデオ演説では「パール・ハーバー」を例にひいたことで日本では不評だと聞いたが、Yahoo!ニュースを見ていると江川さんが「ゼレンスキー大統領はかなりの戦術家だと思う。彼のスピーチライターは誰なのだろう。すごく優秀」だと評していた。

江川紹子氏がゼレンスキー大統領の演説に私見「かなりの戦術家。スピーチライターはすごく優秀」

何故面白いと思ったかというと、昨日寝る前にリヴィウの友人がFacebookで同じようなことを言っていたからだ。

Natalia Wowk Facebook

彼女は、「今度大統領の選挙があったら、私はゼレンスィキーのスピーチライターに投票する!すごく上手!苗字が知りたい!」とポストを出した。

これも友人の間でウケて、特に女性の間で「同感!」「私もそう思ってた!」という声が溢れた。

私も同業なので、やはりゼレンスィキーのスピーチを書いているライターには興味がある。

ただ、シナリオはあるにせよ、彼は結構アドリブを入れている気がする。

更に言うなら、「戦時の大統領」という役を気に入っているようにも見える。

今の処ゼレンスィキーは人気を保っているが、海外のアーティストがゼレンスィキーを「ヒーロー」と称える記事に「戦っているのは私たちなのに、ヒーローは彼なの?」という冷めたコメントもあった。

コメディアン時代から頭の良さで生き抜いてきた彼だけに、そのあたりは分かっているはず。

戦略家の本領を見せてほしいものだ。

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