07.03.2022
ウクライナ人と日本人はやっぱり違う
昨日のブログではウクライナ人と日本人の似ているところをあげたので、今日は似ていないところをあげてみる。
- ヒロイズム Heroism
- 愛国心 Patriotism
- 楽天主義 Optimism
- 強靭さ Toughness
- ユーモア精神 Sense of Humor
これらは特に今、戦時下のウクライナ人を見ていて「ウクライナ人らしいなぁ」と思う点だ。
ヒロイズム Heroism
【ТСН Українці демонструють справжній героїзм: Зеленський звернувся до людей】
ウクライナ人の最大の特徴といえるのがヒロイズム。
これを体現しているのが、ゼレンシキー大統領だろう。
彼は演説でも、普段でも、ヒロイズムгероїзмという言葉をよく使う。
日本語のヒロイズムとウクライナ語のгероїзмでは意味の広さが違うので、日本語のヒロイズムのような臭さはない。
ただ、(少なくとも現代の)日本人には薄い英雄志向は、ウクライナ人を理解するポイントかもしれない。
私自身、ウクライナ人のヒロイズムに巻き込まれてしまっている気が時々する。
愛国心 Patriotism
愛国心がウクライナ人の性質の特徴なのは、言うまでもない。
これも日本人に理解しにくい点。
アメリカという大国を敵に回しての敗戦を「歴史」として持ってしまっている現代の私達よりも、戦前の日本人の方がウクライナ人の愛国心を理解しやすいのかもしれない。
楽天主義 Optimism
【Океан Ельзи. Все буде добре (official video)】
オプティミズムも伝染する。
私は明らかに、ウクライナに来てから楽天的になった。
ウクライナ人が最も頻繁に使う言葉が「Все буде добре」と「Все буде гаразд」
どちらも「全て大丈夫」「全て良くなるよ」といった意味だ。
思えば、一週間前も、一ヶ月前も、私達はこう言いあっていた。
今でも、別れ際にはこう言う。
そうあってほしい。
強靭さ Toughness
強靭さもウクライナ人の特徴のひとつ。
肉体的にも、精神的にも、強い。
見るからに強い人もいれば、見かけはそうでもないのに、すごくタフな人もいる。
若い、可愛い女の子でも力持ちだし、オバサンやお婆ちゃんでも強い。
ユーモア精神 Sense of Humor
いま、友達や同僚と話していると、戦時中の日本でもこんなに冗談を言っていたのだろうかという疑問がわく。
私の住んでいるところにはハルキウから逃げてきた人がたくさんいるのだが、レジで後ろに並んでるお婆ちゃんが店員さんと冗談いって笑い合ったりしている。
TelegramのチャットやFacebookのポストもユーモラス。
そして、ちょっとシニカル。
精神的なタフネスの表れがウクライナ人のユーモア精神の元にあるのだろう。
アンビバレントな魅力
【憂国 (Yūkoku) – 三島 由紀夫 (Yukio Mishima)】
ウクライナ人の特徴として思いつくものをあげてみたが、これらがストレートにでているわけではない。
どの特徴にもその裏側がある。
ヒロイズムに対する抵抗感もあるし、愛国心の裏には国民性に対する自虐もある。
楽天的に見せてはいるが現実的なところも悲観的なところもあるし、タフに見えるが弱いところも勿論ある。
さすがのユーモア精神が枯渇するときもある。
むしろ、そうしたアンビバレントなところがウクライナ人の最大の魅力であると思う。
ちなみに、私がリヴィウで話したテーマの中で一番受けたのが、三島由紀夫だった。
私は三島のファンでも専門家でもないのだが、土地の人から三島由紀夫を読みたいので翻訳をしてほしいと頼まれたのだ。
日本人にしては珍しいヒロイズムと愛国心、選良意識と劣等感を併せ持つ三島の美学が、ウクライナ人の共感を呼んだのだろうと思っている。