04.05.2022
リヴィウへの二度の空爆
【5月3日の空爆 アンドリー・サドヴィー市長のFB公式ページより】
今日5月4日(水曜日)はロシアの侵略が始まってから70日目でした。
前回ブログを書いたのが53日目、4月の18日でしたので、2週間以上、間があいてしまったことになります。
この二週間のあいだに二度、リヴィウでも空爆がありました。
最初はブログを書いた当日の早朝、二度目は昨日、5月3日の夕方です。
4月18日の空爆
まず、18日の空爆ですが、前回のブログを書いたのが18日の深夜でした。
そして、その翌朝、出かける支度をしているときに空爆があったんです。
ブログを書き終えてベッドに入ったのが夜中の3時頃、警報のサイレンが鳴ったのが7時44分、爆撃があったのが8時半頃でした。
まだ警報が解除になっていなかったので、本当ならシェルターに入っていなきゃいけなかったんですが、月曜日なので仕事の準備をするために部屋に戻ったところでした。
私の住む家は新建築なんですが、ミサイルの投下された場所がうちから肉眼で見えるくらいの距離だったので、爆破の瞬間、建物全体が揺れました。
寝室の窓辺でニャルソックしていた次男猫が驚きの速さで窓から飛び退き、廊下に飛び出しました。
私自身も、肉眼で爆撃の瞬間や爆炎を見るのは初めてだったので、皮膚がサワサワしました。
急いでもう一度猫たちをキャリーに入れ、シェルターに逆戻り。
見ると、手も足も総毛立っていました。
警報が解除になったのは9時16分。
リヴィウ市内では初めて一般人に死傷者の出る大きな爆撃でした。
とはいえ、ウクライナ全体では毎日のようにあることなので、仕事は通常通り。
ただ、オフィスも爆撃地の近くなので一時閉鎖、水曜日までリモワとなりました。
5月3日の空爆
その後は、警報こそほぼ毎日鳴るものの、私たちの近辺には爆撃はなく、東部と南部以外は日常が戻ってきつつあるところでした。
桜も見頃で、先週末にはFBやインスタに桜の写真がたくさんアップされていました。
人生二度目の大きな爆音が響いたのは、つい昨日のことです。
このときも、私は自室にいました。
私は昨日から有給を取っているんですが、警報が鳴ったときは夕食の準備をしているところでした。
サイレンに気付かず、前回ほどではないものの、ずぅんと地面が揺らぐ感じとともに爆音。
8時半頃でした。
スマホを見ると、警報が鳴ったのが7時頃。
いつもならそんなに時間をかけて食事の用意をしないんですが、久々の休日なのでのんびりポテトサラダを作っていました。
空襲って、いつもそういう時にくるんです。
朝、今日も一日頑張ろう!と思っている出鼻をくじくような時間帯や、夕食の準備をしてさあ食べよう!っていうときなどに、サイレンが鳴ります。
戦争と日常
日本やヨーロッパの人に空爆や空襲警報の話をすると大変心配されてしまうんですが、私たちは慣れっこになってしまっています。
前回書きましたように、キエフにも東にも人は戻り始めていて、私のプロジェクトの日本語スタッフの一人も爆撃のあったキエフのテレビ塔の近くに住んでいます。
Telegramで仕事の話をしているときに、「あ、今ミサイルが通った」なんて言っています。
ロシアが5月9日まで攻撃を激化するだろうということはずっと言われていました。
実際、毎日のように、軍のインフラや鉄道関連施設、燃料系施設などが爆撃を受けています。
こういう状態が続いているので、空襲に対する警戒は生活の一部といった感じなんです。
他の国の人達が思うほど、私たちは戦争のことばかり考えて暮らしているわけではありません。
対外的にも、ヨーロッパとの国境は既に「非常時」の受け入れ体制から通常体制に戻っています。
会社や学校もほぼ通常通りで、仕事も勉強もあります。
仕事や勉強をするには、食べるものも着るものも、そして、気晴らしも必要です。
会社でも大学でもメンタルヘルスのプログラムが提供されていますし、私自身、先週からジム通いを再開させたところです。
アンジェリーナ・ジョリーのリヴィウ来訪
【アンジェリーナ・ジョリーの来訪 Lviv CroissantsのFB公式ページより】
アンジーがリヴィウを訪れたのは、4月30日土曜日の夕方でした。
私は午前中に久々のジム、午後がマッサージで、その後、駅周辺で買い物しながら家に戻りました。
ジムもマッサージサロンも、アンジーが到着した鉄道駅の周辺にあります。
夕方のレッスンのときに生徒さんが、駅にアンジーがいたと教えてくれて「えー!本当?!アンジェリーナ・ジョリーと同じ空気吸ってたんだー!」と興奮してしまいました。
興奮したのは私だけではなく、アンジーが立ち寄った「リヴィウクロワッサン」はあっという間にネットの話題の中心になり、リヴィウはアンジー一色となりました。
批判的な人もいるんですが、こういう不安な状況だけに、好き嫌いは関係なく、「自分たちのいる所に来てくれた」という事実が嬉しいものなんですよね。
アンジーのクロワッサン、売ります
【アンジェリーナ・ジョリーが食べ残したクロワッサン売ります TelegramチャンネルТруха⚡️Украинаより】
さらに、月曜日のSNSには「アンジェリーナ・ジョリーが食べ残したクロワッサン売ります」というふざけた投稿が出ました。
投稿者は、自称「リヴィウクロワッサン」で掃除夫として働いて2年のエフゲンという男性。
アンジーの食べ残したクロワッサンを100万フリヴニャで売ると広告しています。
100万フリヴニャは今のレートだと440万円くらい。
勿論、単なる冗談です。
戦争中とはいえ、むしろ、戦争中だからこそ、会社でもお店でも学校でもSNSでも、冗談を言い合ったり、笑い合ったりしています。
哀しい顔ばかりしているわけではないんです。
もう一つの現実
ただ、やはり戦争は現実に続いています。
私のいるリヴィウには、いまでも毎日東から避難民の人たちが到着します。
自分の足で到着する人ばかりではなく、電車の車両から担架で運ばれる人も、顔や身体にひどい怪我を負ってたどり着く人もいます。
殺された両親の手の中で泣いていたのを保護されて送られてくる子どもたちも。
そして、以前お伝えしたように、やっとの思いで到達したものの、当地に到着した途端に亡くなる人や子どもも。
リヴィウでは毎日のように、葬儀が行われています。