ウクライナ通信

ウクライナからの現地情報とウクライナ人の生の声をお伝えします

「開戦」から10日

05.03.2022

久しぶりのショッピングモール

シェルターで使うための猫の散歩紐を求めて、ペットショップにでかけた。

ロシアの侵略が始まって以来、ゴミ捨てのときくらいしか外に出ないので、ほぼ一週間ぶりに娑婆の空気を吸った。

薄っすらと雪がつもっている。

配車アプリのBOLTで車を呼ぶ。

需要が高いときのマークが出ていて、普段の2倍位の値段設定になっている。

それでも、日本円にすると500円くらいだし、今は他に方法がない。

行き先は、ビクトリア・ガーデンズというショッピングモール内にあるマスターズーというペットショップ。

ホームページには戒厳令下なので受注も発送もしていないと書いてあるが、Facebookを見ると何店舗かは一応店を開けているらしいと分かった。

電話で確認するとビクトリア・ガーデンズのお店は午後1時までしか開いていないと言うので、急いでアプリでタクシーを呼んだのだ。

ショッピングモールは空っぽ

ビクトリア・ガーデンズに着いたら、土曜日なのに人がポツポツしかいない。

リヴィウには今、普段より多く人がいるが、男性は徴兵、女性は家に蟄居、地方から来た人は外国に出る準備に忙しい。

誰もショッピングモールでゆっくり買い物していないのだ。

食料品売場には買い物客がいるが、ファッション系のショップには人影もない。

そもそも、住民の多くが従軍したり、外国に避難したりしているので、働く人が少ない。

しかも、軍に供給しなければならないので、物資も少ない。

一週間前に買い物したときはまだ十分に物資があったのだが、この一週間で状況は大きく変わってしまった。

ウクライナ人は動物が好き

ペットショップではキャットフードもドッグフードも人気の品はほぼ売り切れで、キャリーバッグもサイズの小さいものが2点残っているだけだった。

それでも、次から次へと人が来る。

ウクライナ人は動物好きで、ペットショップ、ペット薬局はコロナのときでもずっと営業していたし、私もそうだが、飼い主というのは何はなくても犬や猫のためのフードやグッズだけは補充に来る。

目当ての散歩用の紐は手に入ったが、カードリーダーが壊れているとかで、カードが使えなかった。

他のお店もそうなのかと思って薬局で試してみたら、薬局は普通に使えた。

その代わり、店員さんが一人しか働いていないので、結構待たされた。

爆撃のひどかったキエフやハルキウの同僚は、薬が手に入らず、薬局に長蛇の列が出来ていると言っていたので、東から来た人たちが買い求めるのだろう。

レジに向かう列で、私の前に立っている親子連れも、後ろに立っている中年女性の二人組もロシア語話者だった。

ATMは新札ばかり

ペットショップではカードが使えなかったので、手持ちの現金が減ってしまった。

ATMで少し引き出そうと思って自宅の傍にある銀行のATMに行ったら、前のオバサンが延々と引き出している。

私が到着する前から引き出していて、私が着いてからでも5回は引き出している。

ドルかユーロを買うのだろうか。

革命のときにも、クリミア危機のときにも、こういう人はいた。

ロシアのルーブルの下落ばかりが注目されているが、ウクライナのフリヴニャも下がっている。

ちなみに、ロシアの侵略が始まるまでは1ドル28フリヴニャくらいだったのが、今は30フリヴニャにまであがっている。

街中の両替屋では35フリヴニャの値が付いていたが、駅や国境の近くはもっと高いのだろう。

やっとオバサンが去って自分のカードを突っ込む。

紙幣がなくなっているのではと不安に思いながら操作をしたが、問題なく引き出せた。

出てきたのは新札ばかりだ。

ロシアの侵略が終わって、運良く生き残っていられたら、インフレが待っているのだろう。

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