ウクライナ通信

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ウクライナ人のヒロイズム その2

08.03.2022

ヒロイズムは国の大きさに反比例する

昨日に続いて、ウクライナ人のヒロイズムについて書く。

米原万里が愛国心は国の大きさに反比例するというようなことを書いていた。

ヒロイズムもまた、国の大きさに反比例するように思う。

ただし、物理的な大きさではなくて、経済的、社会的な大きさに関わるようだ。

ウクライナ人を見ていてそう思う。

大統領のヒロイズム

ゼレンスキーのアドレス

【Я залишаюся на Банковій, не ховаючись — Зеленський】

昨日、ウクライナ人のヒロイズムに関してブログを書いた直後、ゼレンスキーのスピーチがあった。

なかにこんな台詞がある。

«Тепер скажу одне: я залишаюся тут. У Києві, на Банковій, не ховаючись. І нікого не боюсь. Стільки, скільки потрібно, щоб перемогти в цій нашій вітчизняній війні».

「いま、一つ言っておく。私はここに残る。キエフに、(大統領執務室のある)バンコヴァ通りにいる、隠れたりせず。恐れるものもない。この私達の祖国戦争に勝利するために必要である限り」

キエフに、(大統領執務室のある)バンコヴァ通りに」と言った後、「隠れたりせず」と付け加えたのは、どこかに隠れていると噂されるプーチン大統領を念頭においているのか。

自分は逃げも隠れもしないと言いたいのだろう。

ゼレンシキーらしい、実にゼレンシキーらしいスピーチだった。

テキスト参照元 HB Я залишаюся на Банковій, не ховаючись — Зеленський

トニーのヒロイズム

チームリードのトニーがミーティングに戻ってきた。

今日、戦火のハルキウからルーツィクにたどり着いたトニーと、およそ10日ぶりにGoogleMeetで話した。

トニーとは毎週月曜日と火曜日の午後にGoogleMeetで話すのだが、先週、月曜日のミーティングの後、ハルキウへの爆撃が始まった。

それ以降、一週間近くトニーはハルキウから動けずにいたが、やっと先週末にルーツィクまでたどり着くことが出来たという。

ルーツィクにはトニーの友達がいて、これまでもよく遊びに来ていた。

しばらくそこに留まるらしい。

「静かだよ、ここは。静かで落ち着く」

爆音に囲まれて一週間を過ごしたトニーはしきりにそう繰り返した。

あれは人間じゃない!

一週間のシェルター暮らしで疲弊しきっているという割に、トニーは元気そうで、いつもどおりのトニーだった。

トニーは典型的なムードメイカー、典型的なウクライナ人上司で、陽気でおしゃべりでポジティブで面倒見が良い。

ウクライナの上司にはこういうタイプが多い。

一度だけ、トニーがいつものトニーらしくない顔になった。

私がプーチンの名を出したときだ。

「プーチン大統領はウクライナ人のヒロイズムを見くびっていたね」と私は言ったのだ。

その途端、トニーは頭を抱えるようにして身を捩った。

「やめてくれ!その名前だけは口にするのも耳にするのも嫌だ。あれは何ていうか、人間じゃない、人間に出来ることじゃないんだ」

特別軍事作戦はどこへ

ニュースでは避難所の動物やその世話をしている人々の被災も報じられている。

そして、そうしたニュースへのコメントにも「人間じゃない」という言葉がある。

スーミィでは爆撃でまた子供が亡くなった。

保護動物の避難所では犬たちが亡くなっている。

イルピンでは韓国系のパブロー(パーシャ)・リーが戦死した。

ロシア軍は、ネオナチ政権から東部の住民を解放しに来たのじゃなかったのだろうか?

どこがウクライナ東部の住民を保護するための「特別軍事作戦」なんだろうか?

私達には分からない。

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