ウクライナ通信

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リヴィウ的戦時風景

01.03.2022

アルコール販売全面禁止

リヴィウでは今日から、アルコールの販売が全面的に禁止になった。

昨日のお知らせでは夜6時から翌日12時までの販売が中止ということだったが、ほんの数時間で全面的禁止に更新されたわけである。

そのときのBlogでも書いたように、アルコールの禁止は市民、それも生粋の地元民からの要請が大きかったからだという。

リヴィウの土地っ子というのは、リヴィウっ子であることに独特のプライドを持っている。

彼らの感性は、京都の土地っ子の感性にちょっと似ている。

土地や言語、祖国に対する愛着が強く、余所者にも優しくて愛想は良いが、余所者は余所者という、あの感性。

逃げてきた男たちに対する眼

そのリヴィウっ子に「避難民」の行動が神経に障るのは想像に難くない。

東部から逃げて来て、救援物資を受け、酒を飲んで、ロシア語で騒ぐ「避難民」。

勿論、全ての「避難民」が酒を飲んで騒いでいるわけではない。

彼らがずっと酒を飲んでいるわけでもない。

市民が神経を尖らせているのは、酒を飲んで騒げるいい年をした男が何故従軍しないで西部にいるのだということ。

市長の公式ページには、「うちの息子は国を守るために軍に行ったのに、このろくでなしが・・・」と書き込む母親の声があった。

リヴィウは開戦からの数日で3万人の避難民を受け入れたというが、同時に、その数倍の避難民を隣国ポーランドに逃がしている。

男たちは軍に入り東にいく、自分たちはリヴィウに残っている、なのに東から逃れてきた男が支援を受けて飲んだくれ、ここからさらに西に行くのか・・・という複雑な思いがここにある。

捨てられた車たち

サドヴィー市長のFacebookを見ると、放置自動車に対する警告も出ていた。

放置自転車ではない、放置自動車だ。

リヴィウの中央鉄道駅周辺には、元々車がたくさん停まっている。

昔ながらの客引きタクシーはUberやBoltの一般化で減少していたが、「開戦」で戻ってきた。

地元っ子は使わないが、他所から初めて来た人たちは使う。

多少高くても、気にしない。

今日、出かけるためにBoltのアプリを何度か開いたが、いつみても需要過多で通常の倍以上の値段が提示されていた。

外出禁止令が出ていて外を歩ける時間は限られているし、いつサイレンが鳴るか分からないので、車の需要が高いのだ。

苛立つ市民

そういう状況で、駅前に放置自動車がたまっている、通行の邪魔になる、いつもひどい渋滞がさらにひどくなっている、渋滞でシェルターにつかなかったらどうしてくれるのだと、これも市民の声が高まって市長が動いたらしい。

普通の状況で、普通の市民は車を乗り捨てたりしない。

乗り捨てたのは、市民にしろ、避難民にしろ、一刻も早く国外に出ようと国境に急いだ人たちだろう。

「開戦」以来、車での国境は長蛇の列で、車で国境に向かう人は食料の準備を十分にしておいてくださいと通達が出ている。

ガソリンを補給できる保証もない。

一方、徒歩での国境越えは圧倒的に早いと報じられている。

それを知った人たちが車を、文字通り、捨てて、バスなどに乗り換えて行くのだろう。

車を公道に放置するな、放置したら撤去すると市長の警告は結ばれている。

私が見た時点で(投稿後12時間くらい)、4000近いナイスと200を超えるコメント、800を超えるシェアがあった。

コメントの多くは撤去するという市長に賛意を示すもので、「中心地のも撤去して」というものもあった。

どうやら、町のあちこちに車が捨てられているらしい。

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